福岡市公式インスタグラム連動企画「#fukuoka_people」。福岡で魅力的な活動をしているさまざまな方にフォーカスを当て、プロジェクトの内容はもちろん、活動の裏側や熱い思いを伺います。今回は、福岡市・今川にある「鳥飼八幡宮」宮司の山内圭司さん。約1700年の歴史を誇る鳥飼八幡宮にて、秋まつりや肉フェス、婚活パーティー、マルシェなど、時代にマッチしたイベントを多数仕掛け、神社界の先駆けとして大きな話題を集めています。
新しい試みでアップデートし続ける「秋まつり」が多方面で話題!
縁むすびの神を祀る鳥飼八幡宮。その一大イベントとして知られているのが、「秋季大祭(通称:秋まつり)」。収穫の感謝と翌年の五穀豊穰を祈願する祭事で、1000年以上続く伝統行事です。今年は10月10・11日に開かれ、新たな試みで食×音楽×アート×信仰を掛け合わせ、さらに音楽ライヴをオンライン配信するなど、革新的演出を行い大盛況のうちに幕を閉じました。 もともとは昔ながらのオーソドックスな秋まつりだったと言います。それを宮司・山内さんが手を加え、新しい形態に変えたのが11年前。
山内:「人々の生活環境が変わり、人口減少と比例して神社参拝者も減少傾向に…。全国的に神社界は非常に苦しい状況に立たされていました。神社に親しみがない方に来ていただくためにはどうしたらいいか、 今の時代にみんなが興味を持つこととは何か、そんなことを悶々と考えましたね。そこで思い浮かんだのが、『フェス』というキーワードだったんです」 食・音楽・アート・信仰を融合させてフェスのように楽しさを広げたら、多くの関心を引く祭事になるのでは!? そんな思いから、歴史的な秋季大祭のブラッシュアップを図ったと言います。
みんながWin-Winとなることを突き詰めた結果、日本一の祭事へと成長。
1000年以上続いてきた由緒ある秋季大祭。これまでと異なる仕掛けや斬新な演出を図る際に、反対意見はなかったのでしょうか? 山内:「11年前の当時、“神社でフェス”を行う寺社がなくて鳥飼八幡宮が初めての試みでした。昔ながらのしきたりや形態を守ってきた硬派な方々から理解をいただくことは、実に困難でしたね。反対意見を説得するためには、話をするだけでは足りません。それぞれがメリットとなることを設け、布石を打って、イベントの楽しさを自ら体感してもらうことが大事。みんながWin-Winになるための策を講じながら、徐々にご賛同いただきました」
秋季大祭の分岐点となったのは、2014年に開催した「第1 回鳥飼八幡宮秋季大祭 肉フェス」。“食と音楽の感謝祭”をテーマにした秋まつりで、肉ブームが巻き起こる世の中のニーズとも合致し、1日で約1万人を動員! 翌年以降も2万人、3万人と集客数を増やし、 Yahoo!の検索ワードで一位に! また、SNSやYouTube、メディアへのプレスリリースを活用し、情報発信を積極的に行ったことで「鳥飼八幡宮秋季大祭」の認知度が国内外に広がりました。その結果、有名企業がスポンサーにつくなど、周囲からの注目度と期待値が右肩上がりに向上!
福岡で活躍するアーティストとのコラボし、スペシャルな御朱印帳が実現!
食・音楽・アート・信仰というジャンルの垣根を超えた秋季大祭の中で、県外や海外の観光客にも注目を集めているのがオリジナルの御朱印帳。「今年はコロナ禍の影響でアーティストの仕事が激減したと聞き、神社でなにか支えになれたらと企画したものです」と山内さん。福岡で活躍するアーティストとコラボレーションし、デザイン性の高いオリジナルの御朱印帳を制作しました。 山内:「福岡市には優れたアーティストの方々がたくさんいるので、彼らが世間に知られる一つの手段となればいいなと。最近は御朱印だけでなく、御朱印帳を集めることも若者の間でブームになっていますし、今後もこういった高感度な御朱印帳を展開していくことで地元アーティストの支援に繋いでいきたいと考えています」
今の時代に合うやり方・かたちで“文化発祥の地”を担い続ける。
もともと神社は、江戸時代頃までは“文化発信の地”という位置付けでした。例えば、歌舞伎も神様への奉納行事が起源で、歴とした神社発祥の伝統芸。そういった時代背景があるからこそ、今の時代に合うやり方で、改めて神社が文化発祥の役割を担えるのではないかと山内さんは語ります。 山内:「従来の型を守ることも大事ですが、長く生き残っていくためには新たな手法に挑戦することも必要だと思います。昔と比べて神社が疎遠になってしまった方々が増えた今、人々を呼び戻すためにも、時代に合わせて挑戦することが大きなキーワードではないでしょうか」 新たな試みに挑みながらも、一度立ち上げたプロジェクトは必ず長く続けていくことも信念として掲げているそうです。秋季大祭をはじめとする神社の伝統を受け継ぎ、次の代に継承していく。さらに時代に合わせてブラッシュアップさせて、より価値のあるものを世の中に伝えていく。それが神社の役割だと語る山内さん。
神社内に歴史・伝統・アートのミュージアムを! 飽くなき挑戦への想い。
「鳥飼八幡宮が順調に歴史を繋いでいけているのは、日々支えてくださる周囲の方々や参拝に来てくださるみなさまのおかげ」と山内さん。その感謝と恩返しを込めて、これからは地域貢献を積極的に取り組んでいきたいそうです。 山内:「大きな目標は、鳥飼八幡宮内に福岡の伝統や歴史を発信するミュージアムをつくること。福岡市のまちなかに、しかも境内に、大きなミュージアムを設けたらとてもキャッチーですよね! 日本中から、また海外からも人を集めることで、福岡市の観光資源になればいいなと考えています。 福岡市は歴史的偉人をたくさん輩出してきた地域。私たちが今こうして平和に暮らせているのは偉人たちの功績によるものが大きいですし、時代を拓いた先人のことを多くの人たちに伝えていきたいですね。典型的な展示の仕方ではなく、VRやアプリなどの最新技術を駆使した体験型の博物館にする予定です。家族みんなが遊びながら学びを得て、信仰を身近に感じてもらえる場所になればと思っています!」
祭事や行事、信仰を通して“人が集まるプラットホーム”を担う鳥飼八幡宮。斬新なイベントや取り組みの背景には、伝統を守り続けるという一貫した思いと、人々と信仰の架け橋としての強い信念があることを改めて感じました。そこに山内さん独自のセンスが加わることで、新たな化学反応が生まれるから面白い! 来年の秋まつりも、さらに大きな仕掛けを準備しているそうです。これからも、鳥飼八幡宮の取り組みに注目しましょう!
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