やっとの思いで内定をもらえた会社。新しいスーツに身を包み、憧れの新入社員となれたあの日…。社会人を思う存分に満喫するはずでしたが、入社して間もなく「先輩社員からのいじめ」という洗礼に遭ってしまったのです。
ペアになった先輩社員に怯える日々
私は大学卒業後、ある会社に入社しました。人気の商社だったので、念願の入社です。
入社後、仕事でペアとなったのが女性社員の「A先輩」でした。
しかしA先輩は、誰もが恐れるお局的な存在です。高圧的な態度で、ミニスカートに香りの強い香水、男性社員にベッタリのA先輩。新入社員の私は完全に萎縮してしまいました。
いざ指導が始まると、口調も厳しく
「早く仕事覚えて」
「こんなこともできないの?」など、叱られ続ける状態に。仕事はペアの先輩に聞くのが慣習なので、A先輩以外を頼ることはできません。
そんな中で唯一心の助けとなった存在が、女性社員の「B先輩」でした。
B先輩はとても穏やかで、私を気遣い優しく接してくれました。
実はB先輩も、過去にA先輩から嫌がらせを受けた経験があったのです。しかしB先輩はA先輩の後輩なので、逆らえない状態でした。私も必死に仕事を覚えていたのですが、A先輩の厳しさは悪化するばかり。ついには「嫌がらせ」に変化していったのです。
「いじめ」に耐えられず退職を決意
ある日、熱いお茶を社員の方に配っていたとき。A先輩にドン! とぶつかられ、お茶がこぼれたのです。私の手は火傷し、濡れた私の制服を見て
「あ~ごめんね」とだけ残し、A先輩は去りました。
他にも、仕事でA先輩に質問をすると
「自分で考えれば?」と一言。 A先輩が恐く出勤することさえ苦痛でしたが「入社早々に辞める訳にはいかない」そんな思いから、ただひたすら耐えました。
見かねたB先輩は、私を食事に連れ出すなど、励まし、寄り添ってくれました。
しかし私のストレスは限界を超えていたのか、ある日会社で気を失い倒れてしまったのです。
体調が戻った数日後、出勤してもA先輩を見ると動悸が止まらず手は震えるばかり。A先輩は、私に会うなり
「仮病? すごく忙しかったんだけど」と、嫌味を言ったのです。
やっとの思いで入った会社。憧れの新入社員…。手放すのは悔しかったですが、仕事を辞める決意をしました。
退職届を出す前、B先輩に今までのお礼を伝えると、涙をこらえるように
「あなたが辞めるのはおかしい。私に少しだけ時間を欲しい」と言いました。
最後の救世主、それはB先輩だった
数日後、上司から連絡があり
「Bから話を聞いた、気づかず申し訳なかった」と…。B先輩が意を決して、上司に私の事情をすべて話してくれたのです。
それだけでも報われた気分でしたが、なんと
「辞める前に他の支店でもう一度頑張ってみないか?」と上司から提案が。私も
「A先輩のせいで辞めるのは悔しい」そんな思いがこみ上げ、異動を決意しました。
異動の前日、B先輩は「がんばれ!」の手紙を添えて、泣きながら私を見送ってくれました。不安だった異動先では、先輩社員にも恵まれ嘘のように幸せな社会人生活を送れています。
B先輩から聞いた“A先輩のその後”は…。私が去ってから1年ほど後に、男性社員との社内不倫がバレて居場所がなくなり、泣く泣く依願退職をしたそう。
A先輩が去ったお陰で、B先輩も会社での居心地がとても良くなったそうです。
B先輩がいなければ、今の私はなかったかもしれません。私を救ってくれたB先輩に、今でも感謝しています。
(ファンファン福岡公式ライター/餅キナコ)
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