理想はどこに? 幸せなプレ花嫁期間なんてなかったバタバタ結婚式

 教会式に仏前式、神前式に人前式。結婚式にもいろいろ種類がありますが、準備には時間も手間もかかるものです。13年前、結婚式の準備がどんなに大変かなんて全く考えなかった私は、見学に行った式場で2カ月後に挙式予約を入れてしまいました。そして、恐ろしく大変なプレ花嫁期間を過ごすこととなったのです。

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彼と休みが合わずに1人で行った式場見学

出典:Margo Basarab – stock.adobe.com

 子どもの頃から、結婚式は森の中の小さな教会で挙げると心に決めていました。彼(現在の夫)との結婚が決まってから、私は結婚情報誌を読みあさり、結婚式場のパンフレットを山ほど取り寄せて、理想の結婚式を挙げるべく情報収集していたのです。

 当時、私の仕事は月曜しか休みがなく、日曜と祝日が休みの彼とは、なかなか予定が合わず、気になった式場の見学に行けませんでした。業を煮やした私は、1人で式場見学に行くことにしました。私がある程度候補を絞っておいて、後日2人で一緒に見に行けばいいやと、軽く考えていました。

 ところが、1軒目に行ったホテルの式場が私の理想にドンピシャ! ずっと夢に描いていた森の中の小さな教会(チャペル)が目の前にあることに大興奮した私は、思わず
 「ここにします!」と宣言してしまったのです。  慌てたブライダルプランナーが、式場の予約を確認してくれました。私と彼とが仕事を休まず結婚式を挙げられるのは、月曜の祝日しかありません。プランナーによると、空いているのは2カ月後。それを逃すと半年以上先の2月になるとのことでした。

 私の理想の結婚式は緑いっぱいの森の中なので、雪の降る2月ではイメージが違ってしまいます。
 「仮予約は、キャンセルも変更もできますからね」というプランナーの後押しもあり、
 「それなら2カ月後にお願いします」と、とりあえず申し込みました。

準備に追われ、幸せをかみしめる時間など皆無!

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 すてきな式場を見つけたと、私の母に電話で伝えると
 「良かったね」と言われ一安心。私は鼻高々で彼の家にも報告へ行きました。喜んでもらえると思ったのに、彼と彼の両親は呆然とし、彼の両親から畳みかけるように問い詰められました…。

 「2カ月ってあんた、なんでまたそんな急に?」
 「赤ちゃんでもできとるんか?」 これには、私もびっくり仰天。2カ月もあるのに、みんな何を慌てているのか不思議でした。未来の姑(しゅうとめ)は、
 「結婚式の準備には半年から1年はかけるのが常識。招待される親戚だって、急に言われたら困るでしょう?」と、ため息をつくのです。

 理想にぴったりの式場に出合えたうれしさもあり、恥ずかしながら招待客のことやスケジュールのことをあまり考えていませんでした。それどころか結婚式の準備なんて2カ月あれば余裕だと思っていました。そんなに大変なら延期しようと思った矢先、彼の母はその場で親戚に電話をかけ始めました。
 「急にごめんなさいね、息子の嫁が1人で予約を入れてきてしまって」と、いつの間にか私は勝手に式場を予約してきたヤバイ嫁扱い?! それでも招待したい親戚はみんな祝福してくれて、結婚式は2カ月後に正式決定したのです。

 その日から私の怒濤(どとう)のプレ花嫁生活が始まりました。ドレス選びにブーケ選び、コース料理の試食やテーブルクロスの色選定。やることリストはいつもいっぱいで、頭はパンク寸前でした。夫は私に任せっきりで手伝ってくれず、私は休みの日はもちろん、仕事が終わってからも結婚式の準備に明け暮れて、疲れはたまる一方です。

 閉店ギリギリに飛び込んだエステサロンの帰り道、私はふと我に返りました。
 「何かが違う。私の憧れていた結婚式では、花嫁はお姫さまのように扱われるはずだった。ブライダルエステで、よだれを垂らして爆睡する疲れた花嫁になりたくなかったのに!」。

 2カ月間走り回って何とか作り上げた結婚式は、晴天にも恵まれて、満足度が高い式になりました。彼の母も親戚たちも、お祭り騒ぎで楽しんでもらえてホッとしました。

 それでも、あのプレ花嫁期間を思い出すと、胸がチクチク痛みます。来世では、1年くらい余裕を持って幸せな準備期間をじっくり楽しむつもりです!

(ファンファン福岡公式ライター/あいちー)

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