お互いの預金は全て開示のはずが… 私の知らない通帳を発見! 夫名義の中身とは

交際1年で結婚を決めた私たち。お互いの預金はすべて開示。家計管理は私、夫はお小遣い制となりました。ところがある日、知らない銀行口座の存在が浮上。それは夫の古い通帳でした…。 

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ポストに舞い込んだ1枚のはがき

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 ある日、わが家に郵便物が届きました。それは、折りたたんで糊付けされた圧着はがき。知らない金融機関からでしたが、夫宛なので、特に気にも留めませんでした。

 その夜、仕事から帰宅した夫にその日の郵便物を渡しました。彼はいつも、すべてその場で開封してざっと仕分けるのですがこの夜は様子が違いました。圧着はがきを開かず、そそくさと仕事のカバンにしまいかけたのです。

 この瞬間、ピンと働いた女の勘。私は、我ながら驚くほどの瞬発力で、それを奪い取りました。動揺を隠せない夫の目をにらみながら、はがきの圧着面を勢いよくビリッ! 

はがきの中身は…

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 それは、定期預金満期を告げる、至って普通のお知らせでした。問題は、この定期預金の存在を私が把握していないこと。これは何!? 

 私は静かな声で、夫に問いました。
 「これは何?」夫はうつむきながら、小さな声で答えました。
 「僕の定期預金です」

 私はさらに問いました。
 「この口座、知らないけど」夫はちらっと私の目を見て、
 「すいません隠していました」続けて慌てた声で、
 「いや違う、隠していたんじゃない。3年前思いだしたけれど、そのあと隠していた、ってことになるのかな?」

 隠していた、という嫌なワードに思わず反応しかけた私ですが、ここはぐっと辛抱。冷静さを装いながら、私は夫に命じました。
 「きちんと説明して」その声は、自分でも感心するほどドスが効いていました。

どうしても欲しくて… 夫が語った真実とは!?

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 テーブルをはさんで私の前に座った夫。身体を縮めたその姿は、叱られる前の息子のビクビクした様子にそっくり。親子って似るものだなあ、と妙に納得しながら夫の言葉を待ちました。彼は観念したように、ぼそぼそと語り始めました。

 結婚する際、この通帳の存在を忘れていた。学生時代にアルバイト先の指定で作った口座で、その振込以外で使う機会がなかったから。その頃、いくつかアルバイトを掛け持ちしており、通帳の管理も適当だったため、すっかり失念していた。

 3年前、古い書類を片付けていたら、偶然通帳を発見した。仕事の合間に支店に出向き、普通預金に入れっぱなしだったものをすべて定期に預け替えた。

 「なぜそのとき、私に伝えてくれなかったの?」ブスっと不機嫌な私を気にしながら、夫はもごもごと答えました。

 そろそろ車の買い替え時期。数年前から、次はこれに乗りたいな、と夢見ている少々値が張る車種がある。けれど、子どもたちの教育資金や住宅関連が家計の最優先。自分の車が後回しなのは充分理解している。それでも、どうしても欲しい。好きな車に乗り続けたい。

 「だから、この通帳で不足を補えたらなって。そのときまでに少しでも貯まるよう、定期預金にしてみた。少しは利子がついたかな。あっ! そうだその車、カタログあるけど見る? 」

 通帳隠ぺいの釈明が、いつしか欲しい車の話へ。もごもご口調がいきいき口調へ。おどおどしていた目は、もはやキラキラ輝いています。
 
 隠し事をされたことは許せないことですが、車のカタログを取りに立ち上がる夫の嬉しそうな足取りを見ると、仕方ない。欲しい車を買うことを認めてやるか。この低金利時代、利子なんてほぼつかないけどね。私は夫の単純さにすっかりあきれながら、そっとため息をついたのでした。

(ファンファン福岡公式ライター/山ナオミ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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