6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
各地の小学校では、プールの授業も始まった頃ではないでしょうか(息子たちは10日からでした!)。私が小学生だったウン十年前には、夏休みも毎日開かれていたイメージですが、時代の流れ、そしてコロナ禍を機に変化が生じているようです。
そこで今回は、小学校のプールに関するいまどきの事情をまとめました!授業内容や事前準備など、さまざまな情報をまとめましたので、ご一読頂ければ幸いです。
小学校のプール授業実施時期と回数
小学校のプール授業の実施時期は、地域によっても異なります。わが家の息子たちが通う小学校は、6月半ばから授業が始まり、夏休み前に終わります。このスケジュールは、夏休み明けには運動会の練習が始まるからだと考えられます。
授業の実施時期や回数について、目安を見てみましょう。
プールの授業が行われる時期
プールの授業が行われる時期は、6~9月頃が一般的です。6月に入ると気候や気温が安定するので、多くの地域でプール開きがされます。気温が高い地域では、5月頃からプールの授業が始まることもあるようです。
運動会といえば秋というイメージでしたが、最近は5月頃に開催する小学校も少なくありません。よって、9月になってからプール納めをする小学校も多いといえます。
以上は、プールが屋外にある場合です。屋内プールの場合は気候影響を受けないので、小学校が決めたタイミングでプールの授業を行いますが、夏場が中心だといえるでしょう。
ちなみに、夏休みのプール開放も小学校によってルールが異なります。コロナ禍以降、息子たちが通う小学校はプール開放を行っていませんでしたが、昨年は久しぶりにプールを開放すると連絡がありました。
しかし、その日数はわずか4日間…。うち1日は、暑さ指数が高いことを理由に中止となりました。私が子どもの頃は夏休みの半分くらいプール開放があり、6年生が当番制で見守りをしていたので、「ずいぶん変わったなぁ」という印象でした。
プールの授業は何回くらいある?
プールの授業回数は10時間程度とされています。小学校の体育の授業は、学年や地域によって差がありますが年間105時間がベースで、そのうち10%ほどがプールの授業に充てられます。
プールの授業は前後の着替え、準備体操などもあるので、学校によっては1回のプール時間を2時間分確保し、4~5回開催することもあるようです。長男が1年生のときの時間割を確認したところ、プールの授業は9回でした。
小学校でプール授業はある?減っている?最近のプール事情が知りたい!(https://mama.chintaistyle.jp/article/pool-class/)
小学校のプール、授業の目的と内容は?
自分自身も特に疑問を抱かず参加していたプールの授業ですが、どのような目的で実施されるのでしょうか?また、学年によってどういった授業を行うのかも、気になるところです。
プールの授業を行う目的
文部科学省の「水泳指導の手引」によると、「水泳系及び水泳」領域のねらい(目的)は、「水泳系で求められる身体能力を身に付けること、また、水中での安全に関する知的な 発達を促すこと、さらに、水の事故を未然に防ぐ論理的な思考力を育むこと」ことです。水場での事故は命に関わる場合もあるので、プールの授業を通して水中の安全に関する知識・技術を養うことは重要だといえるでしょう。
1.2年生の授業内容
小学校のプールの授業は、学年ごとに目的・内容が異なります。1.2年生のプールの授業は、水への不安感を取り除くことを目標に行われます。「宝探し」と称して、水のなかに撒いた碁石などを拾ったりする遊びを通し、水中を歩いたり水にもぐったりすることへの抵抗感をなくします。1.2年生の授業は、浅くて小さなプールで行われることが多いのも、特徴の1つです。
3.4年生の授業内容
3.4年生のプール授業の目標は、初歩的な泳ぎを身につけることです。ばた足泳ぎ、かえる泳ぎといった泳ぎ方に加え、水に浮く練習も行います。3年生になると、25mの大きくて水深もあるプールで授業を行う小学校も増えてきます。
5.6年生の授業内容
5.6年生になると、より高度な泳ぎを習得することを目標に授業を実施します。クロールや平泳ぎで続けて長く泳ぐだけでなく、安全確保につながる背浮き、浮き沈みも習います。また、着衣水泳を行うのも高学年が多いでしょう。
文部科学省「水泳指導の手引」(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/06/10/1348570_1_1.pdf)
コロナや猛暑、コスト削減…いまどきのプール事情は?
気候の変化や感染症、またコスト削減の観点などから、小学校のプール事情は10年、20年前と比べて大きく変化しています。ここからは、いまどきのプール事情を紹介します。
コロナ禍にはプールの授業が中止に
2020年2月頃から広まった新型コロナウイルス感染症は、国内だけでなく世界中の人々を震撼させました。どこに行くにもマスクが欠かせなかった時期には、人が集まるイベントなども相次いで中止となりました。4年前の出来事ですが、それまで、そして現在の生活からは考えられない「自粛」を強いられた期間だったといえます。
小学校をはじめ、教育機関の休校という異例の事態も、強く記憶に残っている保護者も多いのではないでしょうか。マスクを外して行わなければいけないプールの授業も、多くの小学校が中止しました。
徐々に規制緩和されるなか、2022年頃からプールの授業を再開する小学校が増えてきました。わが家の長男が小学校に入学したのが、ちょうど2022年。この年はプールの授業がありましたし、2023年度からは前述のように夏休みのプール開放も再開されました。
猛暑が原因で授業ができない場合も
筆者は「暑い夏にはプール」という時代を生きてきたので驚きましたが、最近は雨や気温が低いときだけでなく、暑さ指数が高いときにもプールに入れないようです。これを聞いた筆者の親世代の人たちも驚いていましたが、実は屋内プールでも熱中症による死亡事故は起こっています。
外気温やプールの水温が高いと、水のなかにいても熱中症のリスクは高まります。また、泳いでいるときにも汗をかいていますが、それを実感しにくいため、水分不足から熱中症になることも少なくありません。
民間委託の増加
大きなプールの設置や維持にはコストがかかりますが、小学校によっては少子化の影響で児童数が減少しているところも多いです。よって、小学校のプールを使用せず、民間プールを利用する、民間の水泳スクールに授業を委託するというケースも増加しています。
しかし、学校によっては、民間プールへの移動時間や委託費用がかかりすぎてしまうこともあります。よって、プールの授業そのものを取りやめる動きも増えているようです。
プールの改修・新設廃止の動きも
老朽化したプールの改修や新設を行わないという動きも、全国で見られています。東京都の葛飾区教育委員会は、2021年度以降に改築する小学校には、プールを作らないという方針を決めました。該当する小学校のプールの授業には、校外の室内温水プールを利用します。
葛飾区教育委員会によると、学校のプールを改修・新設するよりも、屋内プールの利用料を払うほうがコスト面のメリットがあるそうです。抑えられるコストは、1校につき約260万円。大きな節約になりますし、日差しの強い屋外プールで授業を行うリスクもなくなるので、区民からは「時代に合っている」という肯定的な意見がある一方で、「移動に時間を取られるのではないか」という懸念点も挙げられています。
学校プールの廃止が増加 水泳授業は校外の屋内プールで 理由は「猛暑、見られない配慮、コスト削減」(https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/education/44722/)
まさかプールで亡くなるなんて…知ってほしい危険性と安全対策(https://www.nhk.or.jp/minplus/0012/topic043.html)
安全に楽しくプールの授業を受けるために
変化が起こっているとはいえ、プールの授業そのものを完全に廃止している小学校は、いまのところごく少数だといえます。貴重な授業時間を安全に楽しむために、家庭ではどのような準備をするとよいのでしょうか。
授業に必要な道具を準備する
プールの授業が始まる前に、必要な道具を準備しておきましょう。水泳道具は水着と水泳帽子、タオル、プールバッグが基本です。水着や水泳帽子は、小学校によって色やメーカーの指定が異なります。ラッシュガードやゴーグルも小学校によって使用の可否があるので、使用したい場合は事前に確認しましょう。
タオルは、身体をすっぽり覆える巻きタオルが便利です。プールに必要な道具は、ショッピングモールなどで5月中旬頃から販売が開始されます。ギリギリに購入しようと思うと、ちょうどよいサイズがなくなっている場合もあるので、早めに見に行くとよいでしょう。
自分で着替えができるように練習する
初めてプールの授業を迎える1年生は、自分で着替えができるように自宅で練習をしておきましょう。巻きタオルのなかで服を脱いだり着たりするのは、小さな子どもには難しい場合もあります。また、濡れた水着を脱ぐのも案外大変です。水泳帽子に髪の毛をしまって被るのも、慣れていないと難しいと感じるかもしれません。
着替えにもたついて授業に遅れてしまう、プールの授業後にうまく着替えられないといったことのないよう、タオルで拭く練習なども含めて流れを確認しておくと安心です。
水場での危険を親子で話し合う
プールの授業は当然ですが、水のなかで行われます。地上とは違う、水場ならではの危険も多いので、授業が始まる前には「プールで起こりやすい事故」について、親子で話し合っておくとよいでしょう。
1年生はもちろん、大きなプールの利用が始まる3.4年生、身体も大きくなり水場への恐怖心がなくなってきている高学年にも、危険を再確認することは大切です。
授業への姿勢についても再度確認を!
プールの授業が始まると、ワクワクする子どもも多いのではないでしょうか。しかし、あくまでも小学校の授業であることを忘れずに取り組むよう、授業への姿勢も確認することをおすすめします。
先生の話をよく聞いて指示に従うこと、自由時間があってもルールを守って楽しむことは、安全なプール利用にもつながります。わが家では、プールの授業がある日の朝には「先生の話をちゃんと聞いてね」「最悪の場合は命を落とすからね」という話を手短にしています。
息子たちは「しつこいな」と思っているかもしれませんが…。事故があってからでは遅いですし、学習の一環であることを意識して欲しいので、これからも伝えていくつもりです。
小学校のプール授業の内容は?感染症対策でどう変わった?プール開きの時期や必要なものを解説!(https://oyako-heya.jp/articles/2302)
小学校のプールはコロナ禍で大きく変化!ルールを守って授業に参加しよう
時代とともに徐々に在り方を変えてきた小学校のプール授業は、コロナ禍により大きく変化したといえます。回数は非常に多いわけではありませんが、プールの授業を通して子どもたちは、泳ぎ方や安全確保の方法など、命を守る行動にもつながる学びが得られます。
安全かつ楽しい時間にするには、授業に向かう姿勢や水場での危険を知っておくことも重要です。プールの授業前には、ぜひ親子でいろいろな話をしてみてください。