小学生の読書にはどんな効果がある?読書時間や冊数の目安も!

6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

学校でも読書の時間を設けていることは多いですが、小学生の読書はさまざまなよい効果をもたらします。子どもが本と触れ合う機会を増やすには、どのような工夫をするとよいのでしょうか。

今回は、小学生の読書に関する情報をお届けします。効果や保護者ができる習慣化のポイント、どれくらいの冊数読むとよいのかなどを知り、子どもが「本を読む」ことが好きになるための参考にしてください。

目次

読書に期待できるよい効果

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まずは、小学生の読書がもたらすよい効果を見てみましょう。本を読む習慣ができると、さまざまなメリットが期待できます。

語彙が豊富になる

子どもは家庭内や小学校、習い事など、いろいろな場所・立場の人とのコミュニケーションを通して新たな語彙力を身につけることも多いです。しかし、会話のなかに出てこない言葉も多いので、読書は新たな言葉に触れて語彙力をアップするのに役立ちます。読書を通して知らない言葉を覚える、意味を知っていくことで、豊かな表現でのコミュニケーションを実現できます。

想像力が豊かになる

文字が多い本を読むときには、文章から情景を思い浮かべます。また、小説はもちろん、マンガでも、描かれていない登場人物の心情は自分で想像する必要があるでしょう。こうした経験を通し、子どもの想像力がアップするのも読書による効果の1つです。

読解力が高まる

内容が理解できないと、読書をしていても面白くありません。ストーリーはもちろん、前述のような登場人物の心情、そして物語の大きなメッセージやテーマを把握できるようになるとは、読解力アップにもつながります。読解力は国語の問題を解くのに重要な力ですが、勉強のなかで身につけていこうと思うと、抵抗感を抱く場合もあります。読書を通して楽しみながら読解力が高まれば、国語も好き・得意になるのではないでしょうか。

集中力もアップする

本の内容を理解するには、集中して文章を読まなければなりません。「面白い」「興味深い」と感じたときに、時間を忘れてどんどんページをめくって読み進めていくという経験は、大人でも一度はあるでしょう。読書は、「1つのことに熱中する」という集中力を養うのにも効果的です。

さまざまな知識が身につく

私たちは生きていくなかでさまざまな経験をしますが、習い事や進路、就職先などの選択によって、できる経験はどうしても限られます。そして、そのなかで得る知識にも、偏りが生じがちです。本のジャンルや内容は幅広く、読書を通して人は多くの知識を吸収します。まだまだしたことのない経験の多い子どもは、読書から得られる知識も多いです。もちろん大人も、読書によって自分ができなかったこと、知らなかったことに触れられます。

読書で得られる効果とは? 子どもに読書習慣をつけるためにできること(https://www.889100.com/column/column096.html

小学生の読書、時間や冊数の目安は?

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メリットの多い読書ですが、その恩恵を受けるにはどれくらいの時間読めばよいのか、何冊ぐらい読めばよいのかも、保護者が知っておきたいポイントです。「学研教育総合研究所」の調査を参考に、小学生の読書の時間や冊数の目安を見てみましょう。

小学生の読書の平均時間

学研教育総合研究所「小学生白書Web版」の2017年の調査によると、月に1冊以上本を読む小学生の読書時間の平均は、1週間で2時間です。性別・学年ごとに見ると、以下のようになります。

・1年生:1時間46分(男子1時間51分、女子1時間41分)
・2年生:1時間56分(男子1時間57分、女子1時間56分)
・3年生:2時間14分(男子2時間15分、女子2時間13分)
・4年生:2時間7分(男子1時間56分、女子2時間16分)
・5年生:2時間27分(男子1時間57分、女子2時間52分)
・6年生:2時間11分(男子2時間3分、女子2時間18分)

最も読書時間が長いのは5年生で、最も短い1年生と比べると40分ほどの差があります。また、性別による差は多くの学年において非常に大きいわけではありませんが、5年生は男子と女子で1時間近くの差が見られました。

毎日同じ時間読書をすると仮定すると、1日当たりの読書時間は1年生が15分、5年生は21分です。5年生の女子は、やや長い25分ほど読書をしていることになります。

調査結果から、小学生の読書は1日15分~20くらいが目安だといえます。これから習慣化するなら、まずは1日10分くらいから始めるとよいでしょう。

小学生の読書量

続いて、小学生の読書量についてです。「小学生白書Web版」の2021年の調査によると、1か月に1冊も本を読まないという子どもは全体の3割程度いて、7割の子どもが毎月1冊以上本を読んでいることがわかります。

小学生全体の平均読書量は、1ヵ月あたり2.9冊です。学年・性別ごとの差はあるのでしょうか。

・1年生:3.6冊(男子3.3冊、女子3.9冊)
・2年生:3.5冊(男子3.0冊、女子4.0冊)
・3年生:3.2冊(男子3.3冊、女子3.1冊)
・4年生:2.7冊(男子2.3冊、女子3.0冊)
・5年生:2.4冊(男子1.8冊、女子3.0冊)
・6年生:2.0冊(男子1.7冊、女子2.4冊)

恐らく、低学年のほうが文章が少なく、短い本を読むことから、高学年よりも冊数は多くなっています。性別による差は5年生が最も大きいですが、それ以外は大きな差があるわけではありません。しかし、3年生を除いては女子のほうが多くの本を読む傾向にあることがわかります。

小学生の読書量は、選ぶ本のジャンルやボリュームにもよりますし、内容をしっかり理解しながら読むと、スピードが遅くなってしまう子どももいるので、一概に「月に〇冊」とはいえません。ただし、10分でも毎日読書をする習慣があれば、ボリュームが多いものでも2冊程度は読めるでしょう。

小学生はどんな本を読んでいる?

読書時間や冊数の目安だけでなく、「どういった本を読めばよいのか」も、保護者が気になることの1つです。書店に行くと、年齢や学年に応じたおすすめの書籍が並んだコーナーもありますので、そこから子どもが好きそうなものを選ぶのもよいでしょう。しかし、これまで読書をしてこなかった子どもは、急に「読書しよう」と本を出されても、興味を示さなかったり抵抗感を抱いてしまったりすることもあります。

「小学生白書Web版」の2014年の調査では、小学生の好きな本のジャンルの1位はマンガで、その割合は46.9%でした。2位はアニメ(27.2%)、3位はゲーム(18.6%)となっています。

図鑑や自然科学系の本、歴史や伝記、小説の各ジャンルなどを好きなジャンルに挙げる小学生ももちろんいますが、気軽に読めるマンガやアニメに関する本、ゲームプレイの参考になる本は、人気が高いです。

学習関連の知識が直接的に得られるジャンルの本ももちろん大切ですが、好きなものから読書週間をつけるのも悪いことではありません。その例として、わが家の長男のお話を少しさせていただきます。

わが家では、今更ながら息子たちがマイクラにハマっており、伯父から受け継いだ数冊の攻略本を、夕飯前にほぼ毎日読んでいます。漢字も多く次男はまだ難しいようですが、長男は知っている漢字や前後の文脈から予想して読み進めており、ゲームをするときにその知識を生かしているようです。

また、幼稚園くらいの頃にNHK Eテレで放送中の「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」というアニメが好きだった長男は、その後購入した小説版も気に入って読んでいます。ドラえもんのマンガも好きで、電車に乗って出かけるときには数十分のあいだ集中して静かに本を読んでおり、「スマホ見せて」「まだ着かないの?」といってくることはほぼありません。

マンガや攻略本には、好きだからこそ集中できる、楽しく読めるから本が好きになるという魅力があると、筆者は考えています。マンガから得られる知識もあるので、「子どもが好きなジャンル」も取り入れながら、楽しく読書ができるとよいのではないでしょうか。

小学生白書Web版「読書時間」(https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/201708/chapter4/11.html
小学生白書Web版「読書量」(https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/202108/chapter4/06.html
小学生白書Web版「好きな本のジャンル」(https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/201409/chapter6/03.html

時間帯別!小学生の読書のメリットとおすすめの内容

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読書を習慣化するなら、毎日できるだけ同じ時間、タイミングで行うのがおすすめです。小学生の場合は学校に行く前か帰宅後、寝る前の3つから選ぶとよいでしょう。時間帯別の読書のメリットと、おすすめの本のジャンルを紹介します。

朝学校に行く前

帰宅時間は時間割によって変わりますし、習い事などがあると夕方の決まった時間に読書をするのが難しい場合もあります。学校に行く時間は決まっているので、朝の準備が終わってから学校に行くまでの10~15分に読書をすると、習慣化しやすいです。

脳は眠っているあいだに前日の記憶を整理するので、起きたときは非常にクリアな状態になっています。新しい情報を取り入れやすく、やる気や集中力も高まっているタイミングでの読書は、知識の吸収をよりよくします。よって、小説や歴史の本、伝記など、学びの多い本を読むのがおすすめです。

帰宅~夕食前

学校から帰ってから夕食までの時間には、宿題や自主学習をする子どもも多くいます。「帰ったら宿題」という流れのなかに読書も組み込むのも、習慣化の1つです。1日学校で過ごしてきた疲れが出る時間帯ですので、マンガやゲームの攻略本のような趣味に関する本を読んで、リラックスしながら知識を吸収するのもよいでしょう。「毎日マンガばかりでは…」と思う場合は、子どもが好きなジャンルの本、特に短編集だと短時間集中して読みやすいです。

就寝前

夕食やお風呂、翌日の準備が終わって布団に入る前に、読書の時間を設けるのもおすすめです。寝る前は記憶を定着させるのに最適な時間帯なので、勉強に直接関連する本を読むと内容を忘れにくくなります。朝と就寝前は、夕方とは反対に「勉強」に特化しすぎてしまう可能性があります。学習関連のマンガを活用する、子どもの意思を尊重して本を選ぶことも忘れず、身になる読書を実現しましょう。

効果的な読書の時間帯とは|読書に向いている時間はいつ?(http://pro.bookoffonline.co.jp/book-enjoy/reading-skills/20180310-dokusyo-koukateki-jikantai.html

小学生の読書を習慣化させるには…

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小学生の読書を習慣化させるには、保護者の協力も必要です。学年が小さいあいだは子ども主体で進めるのは難しく、学年が上がってからだと「これから読書の習慣をつけよう」と思っても、いままでのスタイルをなかなか変えられないこともあります。子どもが楽しく読書を続けるには、保護者はどのような工夫をするとよいのでしょうか。

本に触れやすい環境を作る

まずは、子どもが本に触れやすい環境作りをしましょう。リビングや寝室など、複数の部屋に本棚を設置してすぐ手に取れるようにするのが理想ですが、難しい場合はよく使用する部屋だけに置いても問題ありません。

本棚は子どもが自分で出し入れできる高さのものにすると、興味を持ちやすく、思い立ったときにすぐに手に取れます。

保護者が一緒に読書をする

よい効果が期待できるからと頭ごなしに「本を読みなさい」といっても、子どもは「なんで読まなきゃいけないんだ」と反発してしまうかもしれません。子どもに読書の習慣をつけたい場合は、保護者も一緒に読書を楽しむのがおすすめです。身近な大人が楽しく本を読んでいれば、子どもも興味を持ちやすくなります。

学年が低い子どもには、読み聞かせをするのもよいでしょう。

短時間でもよいので毎日読む

習慣は毎日続けることで徐々に定着するので、短時間でもできるだけ毎日読むようにしましょう。平均読書時間に合わせるなら、「週に1回2時間」という方法でもよいかもしれませんが、もしそのあいだに読み切れないと、翌週にはせっかく読み進めた内容を忘れてしまいます。

毎日少しずつ読書をすれば、前日読んだ内容を覚えていて、さらに新しい内容を吸収して、という繰り返しで、知識も定着しやすいです。また、長時間集中して本を読むのは小学生には容易なことではないので、「毎日コツコツ」を重視しましょう。

興味・関心のあるジャンルを選ぶ

勉強に役立つ本、幅広いジャンルの本を読んで欲しいというのは保護者の願いですが、子どもが興味・感心を持っていないと飽きてしまったり、読書に前向きになれなかったりします。好きなジャンルの本なら読書にも意欲的になれますし、「読書」そのものの魅力にも気づいて、いずれは違うジャンルの本にも興味を示すようになります。

「読書は楽しいもの」だと気づくために、前述のマンガなども役に立つでしょう。

電子書籍も活用する

「読書=紙媒体で」というイメージを持つかもしれませんが、電子書籍も活用しましょう。子どもが読みやすい物語や絵本のアプリも多くあり、移動中や待ち時間などに重宝します。

大人も子どもも、タブレットやスマホは、動画を見たりゲームをしたりするものという認識が強い傾向です。しかし、いまや子どもにとって身近な電子媒体は、紙媒体よりも読みやすいこともあります。

ただし、スマホやタブレットの長時間の操作は、たとえ読書であっても視力低下などのトラブルの原因になるので、使い方のルールも事前に決めておくとよいでしょう。

【小学生の冬休みにおすすめ!】読書によって得られる効果を徹底解説(https://miraii.jp/others-87

小学生の読書にはさまざまなメリットが!親子で楽しく習慣化しよう

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小学生の読書が習慣化すると、語彙力や読解力、集中力などさまざまな力を養えます。知らない世界を見たり、新たな知識を吸収したりできる読書は、親子で取り組むことで続けやすくなるので、ぜひ大人も子どもと一緒に読書を楽しみましょう。

マイクラの本には熱中している息子たちですが、学校での読書とマイクラを除いては、最近の読書時間はほぼゼロに等しいです。私も「一気に5冊読んだら数ヶ月休憩」という状況がここ数年続いているので、この夏は勉強時間のなかで「10分読書」をしようと思っています。

これから読書を習慣化させたいと思っている保護者の皆さんは、一緒にがんばりましょう!

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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