「赤ちゃんには母乳が一番」や「母乳にはミルクにない免疫物質がある」は、母になった女性が一度は耳にしたことがある“母乳神話”。けれど母乳育児にこだわるあまり、うまくいかずに思いつめてしまう人もいるといいます。母乳とミルク、どちらも経験した私が、これから出産する妊婦さんにおすすめしたいのは、母乳とミルク併用の混合育児です。
第1子と第2子は完全母乳育児にこだわり、疲労困憊(こんぱい)!

初めての出産。私は、赤ちゃんを産んだら、牧場の乳牛のように、あふれ返るほどの母乳が出てくるのだと思い込んでいました。ところが、いざ産んでみると、母乳は少しも出てきません。
一生懸命搾ってようやく1、2滴。出産直後で疲れきった体でしたが、病院にいる間に、助産師さんの母乳指導や母乳マッサージを何度も受けました。
あまりに完全母乳育児(以降、完母)のハードルが高くて、ミルクでもいいかと諦めかけたのですが、双方の親から
「ミルクなんてとんでもない! 母乳が一番!」
「母乳で育った赤ちゃんは、賢い子に育つ」とプレッシャーを掛けられ、
「絶対に完母にしなければ」と思い詰めていました。
幸い、母乳は出るようになったのですが、3時間置きの授乳と慢性的な睡眠不足で、疲れは最高潮に。育児についても試行錯誤の連続で、疲れた体で赤ちゃんの世話に明け暮れました。
第2子も完母で育てたのですが、頻回授乳に加えて第1子のイヤイヤ期と出産が重なってしまい、あまりの疲れにその時の記憶など、もはや遠いかなたへ。かわいい赤ちゃんの時の記憶が曖昧だなんて、もったいないですよね。第1子、第2子の0歳育児は、母乳神話にとらわれ、自ら育児をハードモードに追い込んでいました。
混合育児で苦労を克服! 育児を楽しむ余裕も

そんな私が5年ぶりとなるこの春、第3子を出産しました。すっかり下降気味のバストからは、母乳が出ません。出産から数日後、ようやく出ましたが、量が全く足りないのです。そこで禁じ手だった混合育児(母乳とミルクの併用)に踏み切りました。すると、あんなに大変だった0歳育児が、一気に楽勝モードになったのです。
ミルクは、夕方と深夜の1日2回。わが家は夕食前にお風呂に入るのですが、入浴で喉が渇くせいか、赤ちゃんはミルクを飲み干したら、すぐに寝てくれるのです。その後、私は夕食の支度をして、食事をします。完母の時は、冷めきった食事ばかりだったのに、今は熱々の食事でパワーチャージできています。
次のミルクは、深夜0時前後。母乳の後、しめにミルクを飲ませます。ベビーベッドに寝かせたまま哺乳瓶をくわえさせるので、本格的な眠りに入るのもスムーズ。完母の時は、深夜の授乳で赤ちゃんを寝かしつけても、ベビーベッドに置いた途端、目を覚ましていたので、こんなに寝かしつけがラクなんて、うそみたいです。
しかも、ミルクは腹持ちがいいせいか、朝7時頃までぐっすり就寝。完母の時に3時間置きの授乳で睡眠不足になっていたのは、なんだったのでしょう。ミルクや母乳については色々な意見があると思いますが、私は今、あっという間に過ぎてしまう貴重な0歳育児を堪能できて、幸せに思います。
(ファンファン福岡公式ライター/tsukuko)


