春になると進学、入学でバタバタしますね。これはイヤイヤ期に片足を突っ込んでいる1歳息子のハルくんの入園式のお話です。
いざ、入園式準備

約2年前の年が明けた頃、春から保育園に入れると市役所から手紙が届きました。保育園との面談が終わり、入園式まで必要なものを買い揃えたり通園の道を確認したりと準備に追われる日々でした。
ついに入園式当日を迎え、身支度を済ませ玄関を出ました。ハルくんはピカピカのヘルメットを被り、白いシャツにチェックのズボン、1歳とはいえ入園式なのでなんとなく身なりを整えました。さて自転車に乗ろうという時、足元で
「イヤヨ」という声がしました。
終わらない「イヤヨ」

ハルくんはもうすぐ2歳、最近覚えた言葉は「イヤヨ(拒否)」です。すでにイヤイヤ期に片足を突っ込んでいます。昨日まで、さっきまで良かったことが突如イヤになるのです。
「お友達のところに行ってみようよ」
「ハルくんの好きな車いるかな?」いろいろ声をかけますが聞きません。
こうなったら… と奥の手を提案してみました。
「ばあばにヘルメット見せる?」するとハルくんはパッと顔を明るくし携帯を指差しました。
ばあばとは私の母のことで、テレビ電話をしょっちゅうしているハルくんは、ばあばのことが大好きです。この時点で既に5分押しですが、背に腹はかえられぬと電話をかけました。お願い、出てくればあば。数コール鳴った後、ばあばが出ました。
私は早口で事情を説明しハルくんにかわります。ハルくんはニコニコで自分のヘルメットを指差しています。ばあばはいつものね、といった要領で
「あら〜かっこいいねえ、水色のヘルメット素敵ね、お兄さんみたい」と褒めまくってくれます。
このばあばとのやりとりはハル君がぐずった時によくお願いしており、つい最近も予防接種に行く前に新しい靴下をベタ褒めしてもらっているのです。ばあば効果は抜群、ハルくんは満足したようで電話を切っても泣かずに自転車に乗りました。
時計を見ると8:45、入園式開始は9:00です。自宅から保育園までは自転車で約10分、受付で5分かかると考えもう余裕はゼロです。ここからはとにかく走ります。がむしゃらです。
道中は畑が広がり、近所の人が農作業をしています。普段は立ち止まって話し込むところですが、今日は一言
「いってきまーす!!」前日に入園式があると話していたので、向こうも急いでいるのがわかったのか
「気をつけてねー!!」と叫び返してくれました。
保育園まであと少しという時でした。
「わんわん!」向かいから歩いてきたのはお隣に住む山田さんと飼い犬のゴールデンレトリバー、もこちゃん。ハルくんはもこちゃんに出会ったら撫でさせてもらうというルーティンがあります。
「もこちゃんいたね、入園式終わったら撫でさせてもらおうか」と言うと
「イヤヨー!」思った通りの返事がきました。ここでこじらせると大変なので、自転車を一度停め、山田さんに挨拶をし、もこちゃんを撫でさせてもらいました。ハルくんはルーティンをこなしもこちゃんと山田さんに手を振り、再び自転車は走り出しました。
保育園に到着、間に合ったか?

8:58、保育園に到着しました。急いで自転車を停め、ヘルメットを取り園舎へ走ります。ロビーに入ると受付の先生が2人座っていました。
「ハルくんですね!」
「遅くなってすみません!」と言うと先生は
「大丈夫ですよ、まずは息を整えて」と言ってくれました。
教室に入る時、ガラスに映った自分があまりにもボサボサで恥ずかしくなりましたが、無事に間に合った入園式。ハルくんは少し緊張気味でしたがしっかりと座り先生の話を聞いていました。暖かい季節になると思い出すハラハラな入園式になりました。
(ファンファン福岡公式ライター/「もずく」)


