巨大ショッピングモールで迷子になった5歳息子 意外な行動は?

 今から5年前のことです。オープンしたばかりのショッピングモールに、私と夫、それに5歳の息子と2歳の娘の4人で出掛けました。自宅から車で片道3時間もかかりますが、到着すると、とにかく広くて新しい巨大ショッピングモールに一同大興奮。しかし、そんな大人でも迷いそうな環境で、息子が迷子になってしまいました。

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家族で巨大ショッピングモールへ!

出典:Dmitrijs Dmitrijevs – stock.adobe.com

 地上8階、地下2階建てのそのショッピングモールは、どこを歩いても人でいっぱい。こんな所で迷子になったら大変です。夫は娘を抱っこし、私は息子の手を握って歩きました。

 まず私が行きたかった洋服店に向かうと、オープンセールをしていました。私は買い物熱が一気に高まり、一心不乱に服を探しました。

 夫や子どもが
 「そろそろいいのでは?」
 「お母さん、まだ?」と退屈そうにしていても、お構いなし。子どもたちには
 「あとで、おもちゃ屋に連れて行ってあげるから!」と言い聞かせて、私のショップ巡りは続きました。  

 およそ2時間後、ようやくおもちゃ屋へ。私の買い物に付き合わせたおわびに、1個ずつ好きなおもちゃを買ってあげることにしました。

 娘が選んだのは、1,000円程度のぬいぐるみ。息子が選んだのは、何と1万円を超えるラジコンカーでした。さすがに高くて買えません。私は
 「ごめんね、他に欲しいおもちゃはない?」と聞きました。

 すると息子は顔を真っ赤にして、
 「これが欲しい!」と主張します。私は安価なラジコンカーを見せて
 「これもかっこいいよ」と言ってみましたが、全く眼中にないといった様子です。

 時計を見ると、午後1時過ぎ。夫が
 「とりあえず、昼ごはんにしよう!」と娘のぬいぐるみだけ購入し、フードコートへ向かいました。

一瞬で息子がいなくなり…

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 長時間歩いて、家族全員疲労困憊(こんぱい)でしたが、息子は大好きなオムライスを食べ、すっかり機嫌を直していました。

 その様子を見て、私は
 「息子のおもちゃは、何もここで買わなくてもいいかな」と考えました。そして寝てしまった娘をおんぶして、夫と一緒に食べ終わった食器を下げに行きました。

 席に戻ると、たったちょっとの間しか目を離していないのに、息子の姿がないのです!  まだ遠くには行っていないはず! 夫と私は近くのショップを懸命に探し回りましたが、息子は見つかりません。

 探すこと15分、迷子の館内放送を頼もうとした時でした。
 「迷子のお知らせです。○○からお越しの○○君~」と、息子の名前が呼ばれたのです! その瞬間、私は緊張の糸が切れて涙が出てきました。

息子の行動とは

 急いでインフォメーションへ行くと、息子が目を真っ赤にして立っていました。私は思わず
 「どこに行っていたのよ!」と怒鳴ってしまいました。すると息子は
 「おもちゃ売り場が、どこにあるか分からなかったんだもん」と泣きだしたのです。

 どうやら、あのラジコンカーを諦めていなかったようです。それにしても、誰が迷子の館内放送を頼んだのでしょう。不思議に思い
 「誰かに連れてきてもらったの?」と聞くと、息子は首を横に振りました。
 「ぼくが、お店の人にお願いした」
 「えっ!?」と、私も夫も驚きました。こんな場所で迷子になったら、泣くことしかできないと思っていたのに、きちんとお店の人に事情を説明できたことに、私は感心しました。

 夫が
 「今日は買ってあげるか…」と一言。私も同じ気持ちでした。

 帰りの車内、息子は欲しかった高級ラジコンカーをしっかり胸に抱き、終始ご満悦なのでした。

(ファンファン福岡公式ライター/伊藤優香)

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