さあて。【傷をきれいに早く治す方法】vol.3。わんぱくな息子が膝を擦りむいて帰ってきた! 消毒はせずに、シャワーでよーく洗ってやった。
傷をきれいに早く治すために。
本人はちょっと痛がってるけどもう病院は閉まってる時間だし、急患センターに駆け込むほどの傷でもないような気がするし。でもこのままほったらかすのも、ちょっと可哀想な気がする。
そんな時の応急処置。 もちろん擦り傷だけじゃなく、ヤケドして皮が剥けたとか、包丁で切ってしまったとか。縫うような傷でなければ、基本的にどんな傷にも応用できます。 あくまで応急処置ですよ。どんな時でも闇雲にやっていいってわけじゃないですが、個別のケースについて、ここで議論するわけにはいかないのでね。ざっくりと総論。原則論。
(1)まずどのご家庭にでもあるであろうアイテムの登場。 サランラップ。
そう、あのサランラップ。食品保存用の。もちろんクレラップも可(笑)。 どうしてもガーゼくらいしか傷を保護するものがない。そんな時は、傷の上にサランラップをのせてからガーゼで覆いましょ。ガーゼが傷にこびりつくのを防いでくれるし、傷も乾燥しづらくなります。 広範囲の処置が必要な、大きな床ずれや、全身のヤケドの患者さんにサランラップを使って治療した…なんてケースが真面目な皮膚科の学会の場で発表・討論されるくらい、市民権を得てきた治療法です。(医療機関で使うことへの賛否両論はあるにしろ)
(2)お次は・・・ワセリン。
常備しているご家庭も多そうな。。。もしお持ちでなければ、是非薬局でお買い求めのうえ一家に一つは常備しといていただきたい。。。 「vaseline」でも「プロペト」でもOK!でかい容器入りで数百円というお手頃価格。 傷って、むき出しで空気に触れると痛いので、ワセリンをたっぷり塗ってあげるだけで痛みが和らぎますよ。 前回お話しした通り、「傷は乾燥させない方が早く治る」ので、特別な軟膏薬なんか使わなくても、「ワセリンたっぷり塗り」だけで、意外な早さで傷が再生します。
実際にはワセリン単独で使うと、洋服にベタベタ付いてしまったりと厄介なので。ワセリン+サランラップの合わせ技をオススメ。 ただね・・・これからの暑くて湿度の高い季節にこれやると、周りの皮膚が白くふやけてしまったり、あせもができてしまったりというリスクもありますが。 まあ、そんなのは一時的なものだから、と割り切ることも時に必要(苦笑)サランラップを傷より大きくし過ぎないのもポイントです。
(3)最後はとっておき。キズパワーパッド。
「傷が3倍早く治る」という謳い文句で昔CMが流れてましたっけ。 この類のもので最も初期に発売されたハシリとしてキズパワーパッドを挙げましたが。今や色んなメーカーから類似品が販売されてますね。 ケアリーヴ・ネクスケア・クイックパッド etc. 創傷治癒に最適な湿潤環境を維持してくれる、ハイドロコロイドっていう医療素材で作られた絆創膏。1箱確か500円〜800円程度と少々お高いんだけど、2~3日は貼りっぱなしで使えるし、治りが早いので、結果的にはそう高い出費ではないはず。 日常生活に支障をきたしやすい指先の傷なんかだと、ちょっとしたクッション代わりになってくれて衝撃を和らげてくれます。靴ずれにも使い易い。
ポイント(1)~(3)を上手に使えば応急処置としては十分
我が家の場合、息子が膝小僧なんかを派手に広範囲やらかしてきたりしたら、ざっくりワセリン塗って、サランラップとガーゼ。楽なので(笑)。 でも娘の顔の怪我とか、跡を残したくない時はお金に糸目をつけず(って威張れるほどは高くないけど(^^;;)キズパワーパッド。娘が水疱瘡にかかった時は、跡を残すまいと、顔の水疱にだけはせっせとワセリン塗ってましたよ(-。-; 上記(1)〜(3)、傷の程度や部位に応じて臨機応変に対処していいと思います。要は、ちょっとしたアイテムと工夫で傷を乾燥させないようにすれば治りが早い、という事実を知っておくことで、急な怪我に慌てなくて済むということ。 特にママ達にとっては、それが安心材料になるんじゃないかと。 でもって、まずは応急処置してみて、やっぱり不安だったらきちんと専門家に診せに行きましょう。
「感染」に要注意!赤み・腫れ・痛みは感染のサイン
そしてもう一つ大切なこと。 安易にサランラップやキズパワーパッドを使ってはいけないケース。それは感染。 いわゆる赤み、腫れ、痛みがある場合は密閉は厳禁。1番敏感な指標は痛み。サランラップやキズパワーパッドを使っている途中で、じっとしててもズキズキするというような痛みが出たら、すぐに傷をオープンにしてあげましょう。
さあ! いよいよ夏本番! 海へ、山へ、プールへと楽しいことがいっぱい。 怪我や事故にはくれぐれも気を付けて( ´ ▽ ` )ノ エン女医!Summer Vacation ‼
武田りわ
福岡市城南区梅林にある「タケダビューティークリニック」院長。 お酒と旅と家族をこよなく愛する皮膚科医・美容皮膚科医。 美容医療と漢方、オーソモレキュラー医学(栄養療法)を取り入れた統合治療に注力。
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