忙しい時に限って、抱っこをせがんでくる息子たち。ついつい邪険にあしらってしまうこともあるのですが…。抱っこの裏に隠されたもう一つのサインに気が付いた時、私の心は後悔でいっぱいになりました。
わが家の5歳と4歳の息子はとっても甘えん坊。何かあってもなくても、 「抱っこー」と言って膝に載って来たり、「ぎゅーしたい」と言って抱きしめてもらいたがったりします。 「お母さん、大好き!」 そんな息子たちは、母親の私からすれば可愛くて仕方がありません。 でも、ワンオペ育児が常のわが家では、いつも抱っこやハグに応えてあげられる訳ではありません。 油を使った料理をしている時に限って、後ろからしがみついて「抱っこ!」。朝、時間ぎりぎりでご飯を食べさせている時に限って、「一回ぎゅーして抱っこしてくれたら食べる」。 さすがにそんな時は、「ちょっと待ってよ!」「今は無理!」と、突き放してしまうことも…。 そんなある日のこと。夕食の途中、次男が何度も「抱っこ、抱っこ」とせがんできました。 「今はご飯中でしょ。食べ終わってからね」 わが家は、ご飯中は席を立たないというのがルール(ほぼ守られていませんが…)。ここで抱っこしたら、長男にも示しがつきません。 でも、次男はいつになくしつこく「抱っこ、抱っこしてー」と手を伸ばしてきました。ついには椅子から降りて、私の膝にしがみついてきたので、私も「待ってって、言ってるでしょ!」と思わず大きな声で叱ってしまいました。 要求が受け入れられなかった次男は、静かに私から離れ、今度はリビングの床に転がって、背を向けてグスグス泣き始めたのです。
まったく、もう…。抱っこして椅子に戻そうと、次男を後ろから抱きかかえた私はハッとしました。次男の体が異様に熱いのです。 思わず次男の顔をこちらに向けさせると、顔が真っ赤! ポカポカを通り越して、カンカンです。熱を測ってみると、38.6度。 ああ、やってしまった…。 そう、次男は単に甘えたいだけで抱っこをせがんでいた訳ではなかったのです。熱が上がっていく時の不調を分かってほしくて、「抱っこ」と言っていたのです。 そういえば、体調が悪かったり、嫌なことがあったりした時、そうと言えない息子たちは、代わりに「抱っこ」と言っていたんだった…。 食事中のルールを守らせることばかりに目が行って、次男の本当の訴えに気づいてやれなかった自分に自己嫌悪。次男は、やさしく抱っこされて「大丈夫?」って聞いてほしかったはず。なのに、体がきつい上にさらに私に叱られてしまって、悲しい思いをしたはずです。 気が付かずに、頭ごなしに怒ってしまってごめんね。 「抱っこ」に隠された助けて、のサイン。次からは見逃さないからね、と誓ったエピソードでした。 (ファンファン福岡一般ライター)