赤ちゃんにやさしくママに厳しい!?  夫婦で乗り越えた母子同室

 私が長男・次男を出産するために選んだ産院は、通称「赤ちゃんにやさしい病院」と呼ばれている、母乳育児を積極的に推奨している産院でした。この母乳育児を推奨する産院で、帝王切開で出産することになり、さあ大変! 不安を感じながらも乗り越えた、出産初夜の話をお届けしたいと思います。

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 有名国際機関が推進している「赤ちゃんにやさしい病院」。これに認定された産院は、ママと赤ちゃんの絆をより深めるため、出産直後から母子同室を開始し母乳育児を積極的に行うという産院です。 

 私は長男を妊娠中、このスタイルがとても気に入り「絶対ここで出産したい!」と強く思い通院を開始しました。ワクワクしながら待ち焦がれていた妊娠中期の健診。なんと先生から逆子の宣告をされてしまいました。また、逆子がこのまま治らなければ、帝王切開での出産になるとも同時に告げられました。  

 私は逆子が治るようにと、必死にお灸をしてみたり逆子体操をしてみたりしました。でも、結局一度も逆子が治ることはなく、帝王切開での出産が決定してしまいました。

 この時点で、私にとっての理想のお産からは大きくずれてしまいました。『帝王切開した体で、どうやって母子同室でおむつ替えや授乳ができるの?』という不安が募るばかり。  

 先生に聞いても、
 「大丈夫、大丈夫! 赤ちゃんが泣いたりしたときには、ナースコールをすればすぐ助産師が部屋に来るから」と答えるだけ。不安な気持ちでスッキリしないまま、私は出産の日を迎えました。

 私の両親は他界、夫の両親は離婚していたため、親の力を借りることはできません。また、お互いの兄弟も遠くに家を構え、それぞれ家庭を持って暮らしているので頼ることができませんでした。  

 今まで困難があっても、夫婦で力を合わせて乗り越えてきました。今回の出産も夫婦で乗り越えようと決意しました。事前に帝王切開の日が決定していたため、手術日=長男お誕生日となります。むしろ予定が組みやすいと夫は安心し、出産当日から1週間有休をとり、体制を整えてくれました。  

 そして出産当日、助産師の方から病室に戻ってからの授乳のことや、おむつ替えなどの説明を受け、私は出産のため手術室に向かいました。

 手術室に入り約30分後…。長男は元気な産声を上げ誕生しました。初めてのわが子との対面。言葉にたとえようがない愛おしさが私を包みます。産後の処理を終え、長男が手術室を出ると切開部縫合のため私は薬でいったん眠り、目覚めるとすでに病室でした。

 ベッドの横のソファーを見ると、今までに見たことがない表情で長男を抱っこしている夫の姿が目に飛び込んできました。そして、私に気づくと
 「助産師さんが、『目覚めたら出なくていいから初乳を飲ませて!』って言ってたよ」と言いました。しかし私は切開部の痛みで動けません。  

 とりあえず私はパジャマの胸の部分を開くと、夫はそっと私に長男を渡してくれました。初めての授乳です。私にとっての初めての授乳は、ベッドに横になったまま行いました。そして授乳後は、夫に長男を渡しべビ―ベッドに寝かせてもらいました。
 『何時間おきに授乳』という、決まった時間がないのが「赤ちゃんにやさしい病院」の特徴です。とりあえず、長男が泣いたらベッドから抱きあげ私に渡して授乳するというスタイルが続きました。  

 そして、授乳の次はおむつです。生まれたての赤ちゃんは、黒い胎便をたっぷり出します。そのため、頻繁におむつを見る必要があります。

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 もちろんこのおむつ替えも、私は切開部の痛みで動けません。病院は、
 「定期的に助産師が巡回して赤ちゃんのおむつをチェックします」と話していましたが、自分でやると決心した夫。長男が泣くたびに、授乳の前におむつをチェックし取り換えて、私に渡してくれました。  

 このやりとりは、もちろん夜中も一緒。30分と開けず泣く長男のおむつをチェックし、取り換えて私にバトンタッチ。これを次の日の朝まで夫は行ってくれました。  

 翌日になると、私も立ち上がりることができるようになりました。でも、1週間有休をもらった夫は、家に帰らずそのまま病室に泊まり込みました。幸い病室にはお風呂もあったので、家に帰る必要はありません。まだしっかり立てない私の代わりに、せっせとおむつ替えをして、私にバトンタッチすることを続けてくれました。  

 そんなやりとりは退院当日まで続きました。本当に出産前に決意した、夫婦で出産を乗り越えることができ、感動もひとしおです。    そして後日談ですが…。実はこの夫の様子が病院の助産師さんの間で話題となり、次男を出産するため入院した際、新人の助産師さんに
 「寝ずにおむつ替えをしたという噂のパパさんがいるご家族なんですねー! 実際会えてうれしいです!」なんて言われました。    

 当時の私たちの様子は、病院の中でもかなり話題になっていたようです。あれからもうすぐ8年。あのとき頑張った夫は、今は子どもたちに恐れられる怖いパパに変貌しました(笑)

 (ファンファン福岡一般ライター)

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