離乳食、幼児食と、子どものごはんにはとても気を遣いますよね。塩は少なめにしないと、薄味にしないと…とついつい心配してしまいますが、それが行き過ぎると、逆効果かもしれません。
急にご飯を食べなくなって心配…。

わが家の息子が1歳半の頃、友人が1歳になったばかりの娘ちゃんを連れてやって来ました。天気が良かったので、ピクニックがてら近所の公園へ遊びに行くことに。私と友人は、子どもたちにごはんを食べさせながらおしゃべりをしていたのですが… ふと友人から
「娘が全然ごはんを食べない」という相談が。
私の目の前にいる娘ちゃんは、おかずとごはんがセットになっている市販のベビーフードをパクパク食べています。
「ファミレスとか公園とか、家以外でなら食べるんだけど。家だと食が進まなくて、お菓子ばかり食べたがるの。もう離乳食も完了期なのに」と友人はため息。
「とにかくお菓子をあげないようにすれば、おなかがすいてごはんを食べるんじゃない?」
「食事に集中するよう、ダイニングの模様替えをしてみたら?」
「飽きないように、朝はパン、昼はうどん、夜はごはんとメニューを変えてみるのはどう?」
私は彼女が料理上手で、食に対する意識も高いことを知っています。思いつくままにアドバイスをしましたが、彼女はすでにいろいろと試している様子。私が何を言ってもしっくりこない顔のまま、その日は終わりました。
それから1カ月後、再びその友人が遊びに来ました。今回は手作りの離乳食を持参していましたが、話に聞いていた通り、娘ちゃんはほぼ口をつけず。
「…ちょっと息子の食事を食べさせてみる?」
原因は意外な理由だった!

友人が了承してくれたため、失礼かとは思いつつ息子の幼児食をあげてみることに。ごはん、みそ汁、鶏の塩焼き、ホウレンソウのしらすあえというシンプルなメニューだったのですが、娘ちゃんはすごい勢いで食べ進み、あっというまに完食してしまいました。
驚いた友人は、息子の幼児食を味見。一口食べるごとにけげんな顔をします。
「これ、しょっぱくない?」
友人の言葉に、私がびっくり! みそ汁は上澄みだし、鶏は少し塩をして焼いただけです。これがしょっぱいとなると、友人が作る離乳食は一体…?
今度は、友人が持参した離乳食を私が味見してみると… 味がありません。
「…これ、味付いてる?」
「ちゃんとだしで煮てるよ!」
友人は1歳を過ぎた娘ちゃんの食事に、まだ塩も醤油も使っていなかったのです。
市販のベビーフードやお菓子の味を知っている子どもが、何の味もしないお肉や野菜を喜んで食べるとは思えません。調味料を使い過ぎてはいけない! と子どもを思う気持ちはすてきなのですが、結果、ごはんを食べずお菓子ばかりでは本末転倒です。
「食べムラや好き嫌いも出てくるし、適度に調味料を使ってみたらいいんじゃない? バリエーションも増えるから楽だよ」
「でも、まだ1歳だし…」
「私は息子が1歳の時、塩も醤油もみそも使ってたよ。風味付け程度なら大丈夫」 という会話をしました。
半信半疑といった様子で帰宅した友人でしたが、次の日電話がありました。
「作り置きの離乳食に少し塩を足してみたら、パクパク食べてくれた! ありがとう!」と感激した様子。
子どもの健康を思う友人のやさしさを理解しつつも、何でもほどほどがいいんだなあ… と思った出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター)


