6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
授業中の様子はわからないものの、自宅での取り組みをみているなかで「子どもの勉強へのやる気が感じられない」と思うことがあるかもしれません。なかなか意欲的になれない原因は、さまざまです。
今回は、子どもの勉強のやる気を引き出すポイントを解説します。保護者ができる工夫や注意点にも触れていますので、参考になれば幸いです。
子どもが勉強にやる気を出せない原因
子どもが勉強に対してやる気がないように見える場合は、「なぜやる気がないのか」を考えましょう。保護者がその原因を作ってしまっている可能性も、ゼロではありません。
学習環境が整っていない
部屋や机の上が散らかっている、スマホやテレビ、ゲームなどの誘惑が多い、きょうだいが騒いでいるなど、学習に適していない環境のせいで、子どものやる気が削がれてしまうこともあります。集中して身になる勉強をするには、静かで整った環境が必要です。
生活リズムが乱れている
生活リズムが乱れていると、心身にも影響します。夜更かしをしても朝起きる時間は変わらないので、結果的に寝不足でイライラや集中力が低下を引き起こします。生活リズムが乱れたままでは頭がボーッとして、勉強だけでなく何事にも意欲的になれません。勉強へのやる気が見られないときには、規則正しい生活ができているかも見直しましょう。
勉強の方法がわからない
勉強の方法がわからないと、「勉強しなさい」といわれても何をしてよいかが判断できません。まずは学校の宿題をしっかりとこなすことから始め、プラスαの学習についても保護者が内容や方法を指示して、子どもが勉強の仕方を理解する必要があります。勉強の方法がわかってくると、自主的に、そして意欲的に取り組めるようになっていきます。
勉強を強要している
勉強をしない、やる気がないような姿を見ると、つい「勉強しなさい」と口うるさくいってしまいがちです。しかし、強要されたことをこなすのは「作業」と同じで、自主的にやろうという気持ちや意欲を削いでしまう可能性があります。こうなると「とりあえずやればいい」という気持ちになってしまい、やる気もダウンしてしまいます。
やることが多すぎる
習い事が多い、与えられた課題が多すぎるなど、忙しさがやる気をなくす原因になっているケースもあります。「あれもこれも」とやることが迫ってくると、子どもは疲れてしまうでしょう。とにかく「目の前の課題を終わらせること」だけに必死になってしまいますし、それでも終わらなかった場合は、自信もやる気もなくしてしまうかもしれません。
保護者の声かけ・態度が原因の場合も
保護者が子どもにかける言葉や態度にも、注意が必要です。子どもが「がんばろう」と思っているのに保護者が無関心だったり、マイナスな言葉をかけたりすると、子どもの意欲が低下します。また、きょうだいや周囲の友達と比較して競争心を煽る、高すぎる目標を提示する、テストや成績に対して頭ごなしにしかるといったことも、子どものやる気をなくし、勉強への抵抗感やストレスにつながります。
子どもがやる気をもって勉強するためには、保護者のサポートが欠かせません。声かけをはじめとした工夫は、のちほど紹介します。
【小学生】勉強をやる気にさせる方法|やる気が出ない原因や目安となる学習時間など解説!(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/571/)
やる気を出す方法10個を紹介|勉強嫌いのお子さんがやる気にならない理由とは?(https://kosodatemap.gakken.jp/learning/education/39585/)
勉強へのやる気がないと子どもはどうなる?
学年が小さいうちは「とりあえずやる」だけでも、なんとか学習についていけるケースが多いです。しかし、学年が上がるにつれ、やる気の有無は成績などに影響します。勉強に対するやる気がなくなると、子どもはどうなってしまうのでしょうか。
わからないまま放置してしまう
やる気があってもなくても、学習面でつまずいてしまうことは誰しも起こり得ます。やる気のある子どもは、こうした壁にぶつかったときに「どこがわからないのか」「なぜできないのか」を理解しようとして、苦手を克服する努力をします。
しかし、やる気がないとわからないことをわからないまま放置してしまう可能性が高いです。勉強は発展して広がって行く内容も多いので、1つわからないとその後の学習の多くに影響を与えることもあります。
やるべきことにも取り組まなくなる
やる気がなくても勉強についていけるうちは、宿題のように「やるべきこと」にもいやいやながらも取り組むでしょう。しかし、「わからない」が増えていくと、いずれやるべきことからも目をそらすようになっていきます。
遊びや楽をすることばかりに気持ちがいってしまって勉強の優先順位が下がると、さらなる学力低下を引き起こすことも多いです。
勉強に苦手意識を持つようになる
勉強の仕方がわからず、学習内容も理解できないことが増えていくと、勉強に苦手意識まで持つようになります。「勉強はいやなもの」だというイメージが強くなれば、さらにやる気はなくなっていくでしょう。こうした負の循環に陥らないためにも、やる気がないと感じられたら早めに対処することが重要です。
勉強ができない子の特徴は?勉強ができるようになる方法(https://manach.kyoshin.co.jp/734282/)
勉強のやる気を引き出すためのポイントは?
子どもがやる気をもって勉強するために、保護者もできる範囲でサポートをしていきましょう。ここからは、やる気を引き出す6つのポイントを解説します。
子どもに丸投げしない
「勉強しなさい」と漠然と指示をしても、その方法がわからないという子どもは一定数存在します。勉強の内容や取り組み方、目標設定などを子どもに丸投げするのではなく、保護者も一緒に考えてあげることが大切です。
ただし、保護者が主体的に決めた内容に従わせるのは、前述の通り「作業的」になってしまい、逆効果な場合もあります。目標や内容は子どもが自分で決めるようにし、保護者は子どもの意見や判断が正しいかを見極め、よい方向に促す役割を意識しましょう。
学習目標・時間を決める
目標は具体的で、子どもが達成できるものにします。「何をするか」はもちろん、「いつまでにやり遂げるか」という期限も決めると、子どもは取り組みやすいです。
また、毎日どれだけの内容をこなすか、勉強にどのくらい時間を使うかといった学習計画も大切です。「学校から帰ったら宿題と一緒に、目標に合わせた学習もする」「習い事がある日は夕飯前に」など、日々のスケジュールに合わせて無理のない計画を立てましょう。「遊びやおやつはやることが終わってから」といったルールを作るのもおすすめです。
午前中、帰宅後など早めに済ませる
自主的に勉強をする意欲や習慣があれば、もし急な予定が入ってしまってもその後に「やるべきことをやろう」と取り組めるでしょうが、やる気のない子どもはいやなことは後回しにして、最終的に「時間がなかった」とさぼってしまうかもしれません。
子どもに限らず、いやなことは後回しにしてしまいがちですが、「乗り気でない」からこそ先に済ませるのも1つの方法です。「帰ったらまず勉強」「休日は午前中に」など、早めの時間に済ませてしまえば、その後の自由時間を「勉強」に囚われず満喫できます。
簡単な問題から始める
難しい問題や大量の問題をやらせようすると、やる気のない子どものやる気をさらになくしてしまう可能性があります。まずは簡単な問題からはじめ、「できた」という自信をつけてあげると、「もう少し難しい問題にも挑戦してみようかな」という意欲につながります。成功体験から徐々にやる気を引き出すなら、得意科目を優先して始めるのも有効です。
やる気が出るような声かけをする
「勉強しなさい」とガミガミいう、「やる気がないからこんな問題もできないんじゃないの」と自信をなくすような声かけをするのは、子どもが勉強を苦手に思う原因になります。子どものやる気につながる声かけを意識するのも、保護者が注意したいポイントです。
やる気をアップさせるには、勉強に対する行動を具体的に褒めましょう。「いわなくても宿題ができたね」「昨日より間違いが少なかったね」など、小さなことでも褒めてあげると子どもは「もっとがんばろう」と思えます。
やるべきことを優先できていないときも、命令口調ではなく「帰ったらどうするんだった?」「今日は何をする日だった?」と、子どもが考えて行動できるような言葉に変換するとよいでしょう。
やる気につながるお楽しみを決める
成果やテストの点数などに「ご褒美や罰則を与える」のはよいこととされていませんが、がんばったことに対して「褒め」以外のうれしいことがあれば、やる気がよりアップする可能性は高いです。
家庭の方針や子どもの特性にもよりますが、「テストで100点を取ったら100円」のように、具体的な数字の目標とそれに対する報酬があるのも、個人的には悪いことではないと考えています。しかし、勉強以外のシーンでもご褒美がないとがんばれない人になってしまう恐れもありますし、一時的なやる気にはなっても継続しないということもあるでしょう。
「勉強が終わったらおやつやゲーム、テレビの時間」というのも、大人にとっては「やるべきことが優先」という習慣を作るためのスケジュールかもしれませんが、子どもは「勉強をしたあとのお楽しみ」と捉えているかもしれません。
大きなご褒美を用意するか、日常のなかで「勉強をがんばったあとの楽しみを作るか」という具体的な内容は、大人が話し合って子どもに合ったものにすることが大切です。
余談ですが、わが家はこれまで「2人そろったら勉強をする」というスケジュールでやってきて、割とうまくいっていました。しかし、長男が3年生になって6時間授業も導入され、16時半前の帰宅になることから、先に帰ってくる次男には「おやつを食べながらテレビを見てもいいけど、30分したら宿題をしてね」ということになりました。
最初は時計を見て時間を守っていたものの、徐々に時間にルーズになり、最終的に長男が帰宅するまで1時間近くテレビを見ているように…。そこで、「帰ったらまず宿題をすることにしよう」と予定を変更したところ、やるべきことを先に終わらせてから、のんびりと好きなことをして楽しんでいるようです。
「宿題をしなきゃ」という焦りと「テレビが見たい」という欲求がせめぎ合った状態よりも、「全部終わった~」という状態のほうが、子どももリラックスできるのだなぁと実感するとともに、スケジュールの組み方は難しいなと、考えさせられるよい機会にもなりました。
子どものやる気がアップする!勉強部屋の工夫
子どもが意欲的に勉強に取り組むためには、学習環境を整えることも大切です。やる気アップにつながる勉強部屋の工夫を紹介します。
集中力を削ぐものを置かない
勉強をする部屋には、集中力を削ぐものを置かないのがベストです。誘惑するものが近くにあると、勉強から離れてしまうかもしれません。ゲームやマンガ、タブレットなどを近くに置かない、テレビがある場合は消してリモコンも離れた場所で保管するなど、子どもが勉強に集中できる環境作りを意識しましょう。
保護者の目の届く場所から始める
「リビング学習」という言葉もよく耳にしますが、大人の目の届く場所のほうが勉強に集中しやすい子どもは多い傾向にあります。学年が低いうちは特に、保護者の目の届く場所で勉強させるのがおすすめです。
保護者に見られていることでやる気が出ることはもちろん、近くに大人がいればわからないことをすぐに確認できます。保護者もただ「そこにいる」だけではなく、目の前で勉強に取り組む子どものがんばりを認めるような声かけを心がけましょう。
本棚を近くに置く
勉強をする場所の近くには、本棚を置くのよいでしょう。図鑑や辞書があれば、年齢の高い子どもはわからないことをすぐに調べられます。また、日頃から本を手に取って親しむ習慣がつき、読書から得られる知識も多くなります。
地図や漢字表などを貼る
1年間で習う漢字の表や日本地図、世界地図などの大きな表を壁に貼るのも有効です。ただ貼っておいても意味がないと思うかもしれませんが、無意識のうちに目に入った情報が脳内に定着し、学習に生きるケースも少なくありません。地球儀を置くのもよいでしょう。
お風呂の壁に貼れるポスターも、入浴中に見て知識を深められるのでおすすめです。
やる気はインテリアでも変わる!
勉強部屋のインテリアは、色選びも工夫しましょう。色にはそれぞれイメージや効果があるので、やる気が出たり集中力がアップしたりする色のインテリアでまとまっていると、勉強の効率アップが期待できます。
たとえば青色には冷静にさせる、緑色には気持ちを穏やかにする効果があるといわれています。また、ウッド調のものもリラックス効果が高いので、こうした素材やカラーを取り入れたインテリアコーディネートをしてみましょう。
ピンクや赤は気持ちを高ぶらせる色だといわれているので、勉強部屋にあまりおすすめとはいえません。もし取り入れたい場合は、パステル調でギラギラしすぎていないものを選ぶとよいでしょう。
勉強ができる子どもの10の特徴 母親の習慣や子供部屋の工夫も全て紹介(https://effort.wpx.jp/chugakujuken/kodomo-study/)
子どもが勉強にやる気を出すためにはここにも注意!
環境作りや保護者のサポートによって、勉強へのやる気が期待できます。さらに、生活リズムや勉強以外の面も考慮すると、より効率的な学習を実現できるでしょう。
生活リズムを整える
成績が上位の子どもと下位の子どもを比較すると、上位の子どものほうが食事・睡眠・学習のリズムが正しくできているという研究結果があります。じゅうぶんな睡眠やバランスのよい食事は、脳を活性化させて学習効率もアップさせるので、生活リズムを整えることも忘れてはいけません。
読書をする
読書からも、学校の授業につながる学びが得られるケースは多いです。本から得られる知識は多いので、1日10分程度でも読書の習慣をつけるのもおすすめです。読書には気持ちを落ち着けるリラックス効果もあるので、必ずしも学びのある内容のものでなくても構いません。マンガやゲームの参考書など、子どもが自主的に手に取れる本を用意し、娯楽として取り入れるのもよいでしょう。
身体を動かす
ずっと机に向かっているだけでは運動不足になってしまうかもしれませんし、子どももストレスを感じやすくなります。適度に体を動かすと心身ともにリフレッシュできます。
激しい運動を長時間行う必要はありません。ストレッチや短時間の散歩でも、頭がシャキっとして座りっぱなしによる体の痛みや体力低下を防止できるので、ぜひ取り入れてみてください。
親子のコミュニケーションを大切にする
勉強をするときだけでなく、日々のコミュニケーションを大切にするのも、保護者が覚えておきたいポイントです。日常的に会話が少ないのに、勉強のことになったときだけあれこれいっても、子どもは受け入れにくいでしょう。
学校での出来事や習い事の話など、些細なことでも子どもの話に耳を傾ける時間を大切にすると、子どもも保護者の意見や提案を聞き入れやすくなります。
勉強へのやる気は環境や声かけも重要!子どもが楽しく学べる工夫をしよう
子どもの勉強へのやる気が感じられないと思ったら、まずはその原因を考えましょう。環境や声かけを少し工夫するだけでも、子どもが意欲的に勉強と向き合えるケースは多いです。「勉強はいやなもの」ではなく、多くの知識を吸収できるものだという認識が芽生えれば、子どもは苦手を克服したり、さらなる学びを得ようとしたりします。
夏休みは子どもの苦手を克服し、勉強の習慣づけをするよい機会です。長い休みをどう乗り切ろうか悩む保護者も多いでしょうが(私はそうです…笑)、子どもを見守り、大きな成長が期待できるタイミングだと思い、一緒に楽しくがんばりましょう。