小学生のスマホ使用時間はどれくらい?スマホ利用による影響も解説

6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

時代の流れとともに、スマホを持つ年齢にも変化が生じています。小学生から持つ子どもも少なくありませんが、使用時間はどれくらいを目安にするとよいのでしょうか。

今回は、小学生のスマホ使用時間に関する情報をお届けします。長く使うと生じる問題なども知り、ルール決めの参考にしてみてください。

目次

増える、小学生のスマホ所持率

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スマホを持ち始める年齢に関するアンケートは、さまざまな企業・団体が実施しています。2023年に「ママ賃貸」が行った調査によると、小学校在学中にスマホを持たせる家庭の割合は、67.3%です。

※「ママソレ!」より引用

なかには、小学校入学前から持たせる家庭もあり、「中学生から」は16.1%、「高校生から」は5.0%と、非常に少ないことがわかります。

筆者が小学生の頃はまだ携帯電話が普及し始めたばかりで、持っている子どもはごく少数でした。その後、「プリペイド携帯」が登場し、中学生で持つ子もいましたが、持っていないケースも多かった記憶です。

また、現在大学生の子を持つママ友も、「息子が高校に入るタイミングでスマホを持たせた」と言っていました。20年以上前からはもちろん、ここ数年でも、小学生のスマホの所持率は大幅にアップしているのではないでしょうか。

【2023年最新】子どものスマホはいつから?ルールは?小学生・中学生・高校生のパパママにアンケート!(https://mama.chintaistyle.jp/article/survey-2023-smartphone-child/

小学生がスマホを使う時間はどれくらい?

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「共働きで家に大人がいない」「習い事の際の連絡用」「お友達が持っているからなど、小学生にスマホを持たせる理由はさまざまです。では、小学生の1日のスマホ使用時間は、どれくらいなのでしょうか。

「1~2時間」という回答が多数

前述の「ママ賃貸」のアンケートで、子どもの1日あたりのスマホ使用時間で最も多かったのは、「1時間以上2時間未満」でした。

※「ママソレ!」より引用

同調査の回答者のなかには中高生の保護者もいますが、小学生のなかにも長時間スマホを使用する子どもがいることは確かでしょう。

1時間未満の子どもは全体の4割

「ママ賃貸」の調査を見ると、「30分未満」「30分以上1時間未満」の子どもは、全体の40.2%です。連絡以外にほとんどスマホを使用しないという子どももいるでしょうが、小学生のうちからSNS閲覧や動画視聴、ゲームなど、何かしらの目的でスマホを一定時間使用する子どもも少なくないことがわかります。

3時間以上スマホを使用する子どもも

「3時間以上4時間未満」「4時間以上」という回答は、全体の20.6%でした。また、2024年5月の「讀賣新聞オンライン」の記事では、「学習目的以外のスマホ利用」を1日3時間以上する小学生は21.9%と、「ママ賃貸」の調査時よりも増加しています。

息子に連絡用のスマホを持たせているものの、普段は筆者が管理していてほぼ使用しないわが家からすると、小学生の5人に1人は1日3時間以上スマホを使用しているというのは、やや驚きでした。

中高生になると使用時間は大幅に増加

「讀賣新聞オンライン」の記事では、小学生だけでなく中高生のスマホ使用時間についても触れられており、1日の使用時間が3時間以上の割合は、中学生が30.7%、高校生が32.0%と、小学生よりもさらに多くなっています。

小学生は音楽や動画の視聴、ゲームが主な利用目的ですが、中高生になると友達との連絡や通話への利用頻度が高くなり、さらにSNS利用時間も増えることが、使用時間増加の原因でしょう。

小中学生のスマホ使用「1日3時間以上」が増加…利用ルールがある家庭は小学生で55%(https://www.yomiuri.co.jp/national/20240519-OYT1T50012/

スマホの使用が小学生に与える影響

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小学生からスマホを持ち、さらに1日何時間もスマホを使っていると、心身に影響を及ぼします。子どもにスマホを持たせる前には、次のような問題が起こる可能性も知っておきましょう。

睡眠不足

時間は有限なので、スマホを長時間使うために睡眠時間を犠牲にする小学生も少なくありません。寝る時間を削ってスマホを使い続けると、睡眠不足になってしまいます。

厚生労働省が理想とする小学生の睡眠時間は「9~12時間」で、息子たちの通う小学校でも「できるだけ8時間以上睡眠を」という話をされます。しかし、スマホを使う時間が増えて、睡眠時間が6時間、7時間と短くなれば、心身の成長の妨げになることもあるため注意が必要です。

精神面では、睡眠時間が足りないことでイライラすることが増えます。また、毎日何時間もスマホを使っていると依存気味になり、「スマホがない」ということを我慢できず、ものに当たったり、怒りっぽくなったりするかもしれません。

また、身長の伸びが悪い、肥満になりやすい、食欲不振や免疫低下など、体の成長や体調に影響することもあります。

視力低下

昔の携帯電話よりも大きくなったとはいえ、スマホの画面は非常に大きいわけではないので、スマホを目に近づける人も多くいます。長時間、至近距離で画面を見続けることは、視力低下を引き起こす原因となります。

メガネやコンタクトレンズを使用するとなると、そのぶんお金がかかりますし、視力低下によって将来就けない職業も出てくるため、子どもの未来の可能性にも大きく影響することも、覚えておきましょう。

集中力・記憶力の低下

スマホの使用で睡眠時間が少なくなると、日中頭がボーッとしてしまいます。集中力が低下するだけでなく、学習などに身が入らず、記憶力の定着も悪くなるため危険です。

では、「しっかり勉強して睡眠時間も確保すれば、長時間使っていても問題ないだろう」と思うかもしれません。しかし、インターネットを長時間使うと、学業やメンタルに大きく関わる脳の「前頭葉」に悪影響を及ぼします。スマホの使用時間が長ければ長いほど成績が落ちやすいというのは、さまざまな研究によって実証もされているので、「持っていてもできるだけ使わない」ということが大切だといえます。

このほかにもさまざまな影響が!

長時間のスマホ利用を続けていて最も危険なのは、「スマホ依存症」です。スマホがないと落ち着かない、イライラしてしまうという症状から始まり、生活リズムの乱れから朝起きられない、何事にも興味・関心が持てず無気力になる、不登校やうつ気味になるといった問題も起こるかもしれません。

また、スマホを見るのに長時間背中を丸めたような姿勢を続けると、猫背や巻き肩になりやすいですし、ストレートネックの原因にもなります。悪い姿勢から肩こりや頭痛が発生するなど、長時間のスマホ利用が及ぼす影響は非常に多いため、正しい使い方を覚える必要があるでしょう。

保護者が感じる携帯・スマホの悪影響/データで読み解く、子どもとスマホ【第60回】(https://kids.gakken.co.jp/parents/parenting/watanabe_datechildsmartphone60/
小中学生がスマホを使いすぎると脳の発達を損なう?使用時間の目安と制限方法(https://smamori.jp/topics/?q=YToxOntzOjEyOiJrZXl3b3JkX3R5cGUiO3M6MzoiYWxsIjt9&bmode=view&idx=12861531&t=board

小学生のスマホは、使用時間などのルールを決めよう

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スマホの使用時間で悩む前に、「そもそもスマホを持たせないほうがよい」と考える人もいるかもしれませんが、「いざというときに連絡手段がある」という安心感が得られたり、子どもが自分で気になることを調べられたりと、子ども用のスマホが及ぼすメリットも多くあります。

長時間の使用やそれに伴う問題を回避するためには、「持たせる前のルール決め」が重要です。

小学生におすすめのスマホルール

小学生がスマホを持つ際には、次の内容についてのルールを決めておくとよいでしょう。

・使用時間
・使える時間帯と場所
・使えるアプリ
・課金について
・連絡先の交換 など

1日どれくらい使用してよいのか、どの部屋で、何時まで使ってよいのかは、最初に決めておきたいルールです。「1日30分まで、使うならリビングで、20時まで」など、年齢に合った条件を設定しましょう。寝る前にスマホを見るとなかなか寝付けず、使用時間もどんどん長くなります。学年が上がるほど「自室に持ち込まない」ということが難しくなっていきますが、小学生のあいだは自室で使わないようにしておくと安心です。

ネット上でのトラブル防止のためには、アプリやコンテンツも、保護者が許可したものだけを使うよう徹底することが大切です。また、課金については金額を決めてもよいですが、形に残らないアプリやアイテムへの課金は、お金の流れを理解しにくいというデメリットがあります。「基本的にはしないが、必要だと思ったら相談する」としておくと、子どもも見えないお金の動きを把握しやすいでしょう。

連絡先の交換についても、年齢が小さいあいだは保護者の確認を取ってからがよいといえます。SNSを使う前にも、「投稿をオープンにしない」「知らない人とDMをしない」など、個人情報の流出については徹底するようにしましょう。

保護者が行いたいスマホ管理

前述のルールを、子どもの意識と行動だけで守り続けるのは難しいといえます。決めたルールを守れるよう見守ることはもちろん、年齢に応じたスマホ管理をするのも、保護者の重要な役目です。

スマホの使用時間や、使ったアプリは、使用状況レポートで確認できます。また、動画の視聴履歴、ネットの検索履歴などを見て、正しい利用ができているかもチェックしましょう。最近は使用時間を制限できるフィルタリングアプリもありますので、直接スマホを見るだけでなく、アプリを活用するのも1つの方法です。

スマホ利用に関して保護者が注意したいポイント

スマホについてルールを決める際には、保護者が一方的に押しつけないようにしましょう。理由を説明しないで頭ごなしに禁止しても、子どもは納得できません。また、年齢が上がるとこれまでのルールに不満を抱く可能性もあるので、意見をすり合わせて保護者が許容できると同時に、子どもも守れるルールに変えていくことも大切です。

小学生にスマホを持たせる場合、保護者は自身のスマホ利用について改めて考えることをおすすめします。大人と子どもでは使用目的や影響も異なりますが、姿勢や視力などが悪くなるのは事実です。子どものスマホ所持を機に、大人も「デジタルデトックス」を意識した生活改善を試みてみるのも、よいのではないでしょうか。

小学生のスマホは時間やルールを守って使おう

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小学生のスマホ所持率、そして使用時間は、年々アップしています。しかし、小学生が長時間スマホを使用すると、心身に悪影響を及ぼす可能性が高いため危険です。

この記事を書きながら、筆者も自身のスマホのスクリーンタイムをチェックしましたが、1日の平均使用時間は3時間ほどでした。さらに、1日7時間ほどパソコンに向かっているので、「画面を見る」という行為が起きている時間のほとんどを占めているのかと思うと、ちょっと恐ろしいような気もします。わが家はまだゲームやスマホ、YouTubeの視聴に関してのルールを厳守できていますが、私自身も子どもの成長とともに、使い方を見直さなければいけないと思いました。

使用時間をはじめとしたルールを守り、小学生が正しくスマホを使えるよう、大人も理解を深めながら見本を示していきましょう。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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