私が小さい頃、明治生まれの祖母は、ちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつ紹介していきます。
祖母が十三の晩夏、ひどい吹き降りが何日も続いた。
普段見慣れた川も表情を変え、溢れんばかりの濁流と化していた。
そんなある日、祖母が父親と二人用事を済ませた帰り道、川に差し掛かると顔見知りの長二さんが立っている。
「長二さん、川はこんなんなっとるから危ないよ」と思わず口に出た。
長二さんはそれに答えず、ニコニコしながら川を見ている。
父親も心配になったのか二三、言葉を交わした後、祖母の手を強く引いてその場を離れた。
二人が何を話したのか祖母はよく聞き取れなかったが、何故か尋ねてはいけないような気がして黙って歩いた。
翌日、長二さんがいなくなったと大騒ぎになった。
村中総出で探したが、見つからなかった。
その夜、隣の部屋で父親が「『…が来る…で待っとる』って言うてたもんな」と話すのが聞こえた。
「川に呼ばれたんだ!」祖母はそう思った。
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