家族で旅行したり、出張で家を空けたり、飼い主にとって愛猫と離れるのは、つらいことですよね。「だったら一緒に連れて行けばいいじゃない」とも思う人もいるかもしれませんが、猫は留守番はできても旅行には向いていないのです。
環境の変化に弱くストレスを受けて旅行に向かない猫
猫は単独で生活する動物なので、留守番させたりペットホテルに預けたりしても、あまり寂しさを感じず過ごせるようです。 離れたくないのは、むしろ飼い主。旅行時にもどうしても一緒にいたい場合は、連れて行くしかありませんが、猫同伴の旅は難易度が高いもの。なぜなら、猫は縄張り意識がとても強く、環境の変化には弱い動物だからです。 猫は自分の縄張りの中では強気でいられますが、一歩外に出ると弱気です。周りの物に自分の臭いを付けるマーキングで縄張りを主張し、よその猫の侵入を防いでいます。 当然のことながら、初めて訪れる場所には自分の臭いがしません。つまり縄張りの外です。猫にとって強引に縄張りの外に連れ出される行為は大きなストレスになってしまうのです。
キャリーバッグに押し込むだけでも一苦労、電車や宿泊先では…
そもそも猫は、旅行に限らず外出自体が苦手です。わが家では11匹の猫を飼っていますが、車がないので病院などに連れていくときは1匹ずつキャリーバッグに入れて電車やバスで移動します。 こちらの意図を察しておとなしくバッグに入ってくれる子もいますが、大抵は「こんなところに押し込むなんて、何か企んでるんだろう?」と警戒して拒否します。「とにかく入って!」「怖いから嫌だ!」こんなやり取りを繰り返すうちに時間は過ぎ、いつも電車やバスに乗り遅れないかとヒヤヒヤします。
なんとかバッグに入れて家から出ても、おとなしくしていないのが猫という生き物です。 大通りに出ると自動車の騒音に驚いてパニックになって大暴れする子が大半。静かな家から往来の激しい道路に出たら、それはびっくりするに違いありません。猫の警戒心はMAX、キャリーバッグから出ようと必死にもがくので、中は滅茶苦茶です。
電車やバスに乗ると、外よりも静かなせいか少しおとなしくなります。けれど中には人の話し声や発車音に反応して鳴きわめく猫もいて、周囲から冷たい視線を浴びることも。 動物病院に行くなら仕方のないことですが、楽しみにしていた旅行でもこんな風だと「こんな気まずい思いをするなら連れてくるんじゃなかった」と後悔することにもなりかねません。
近年はペットと一緒に泊まれる宿泊施設が増えていますが、猫との宿泊では何かと気が抜けません。部屋に入ってキャリーバッグから出された猫は、コソコソとどこかに隠れるか、パニックになって走り回るかのどちらかが多いようです。 さらには、そのへんでおしっこをしたり、警戒のあまり凶暴化して飼い主にさえも「シャーッ」と威嚇(いかく)したり。ひどい時には一晩中夜鳴きをするので、飼い主は一睡もできないことがあるかもしれません。 猫同伴の旅行は、かなりの覚悟が必要といえますね。 (ファンファン福岡公式ライター/のらくろ)
飼い主の帰宅を待ち構える愛らしい猫、なぜタイミングが分かるの?